klimbrothers’s 童話と絵ブログ

本当ハ面白イクリム童話と絵描きグスタフクリムのブログです。

集まれ魔女達-第三幕-第三場

第三場



暗転



『庭の千草』をかき消すように、次第に四文字熟語の呪文と行進の足音が大きくなり
気がつくと、耳をつんざくような騒音となって、再び生徒X(タロー)を取り囲んでいる。
生徒Cが教師に駆け寄り・・・

生徒C      先生! もう一回、あいつにあいつが誰だか聞いて下さ~い。
生徒全員    (声を揃えて・・・)
        聞いて下さ~~~~い。ハハハハハハハハハハハ・・・・・・
教師      お前達、それは、ちょっと、あれじゃないか?
        イ・ジ・メ! ハハハハハ・・・・・・。
        (生徒X(タロー)を指差して)
        リクエストにお答えしろ!
        お前は誰だ。

生徒X(タロー)は真っ青になる。震えが止まらなくなり、後ずさりするが生徒達に押し返されて・・・

生徒X(タロー) ぼ、ぼ、ぼくは・・・・・に、に、に、に・・・(と下をうつむく)

遠くから『庭の千草』とあの変な楽隊の音楽がかすかに、ほのかに聞こえてくる。
タローはそれに気付き、じっと耳を傾けている。そして、ゆっくりと顔を上げると
その顔は笑っている。遙か遠くの魔女達にも聞こえるような大きな声で・・・

タロー     僕は、タローです!

教室はパニック状態となる。ギャーという悲鳴。腰を抜かしてはいずり回る生徒。
他の生徒の腕にかみつく生徒。黒板に自分の頭を何度も打ち付ける生徒、等々。

そして、タローは、ずっと空を見つめたままである。