夢

僕にも

夢があったのだ。

愛し合うこと。

愛し合いたかったのだ。




でも、勘違いしないで。

慈善事業のことを言ってるのではない。




誰かを愛すること。

心の底から切ないくらい愛すること。

そして、愛しい愛しい人に

愛されたいと心の底から

願うこと。

夢見ること。

それが僕の夢

だったのだ。




でも、とうに諦めていた。

とうに断念していた。

夢なんて自分とは何の関係もない

愛される人間になんて

なれっこない

と確信していた。

夢見るなんて何の縁もないこと。

自分の人生には何の存在感もない

ただの言葉だと思い込んでいたのだ。

夢見たことなんか一度もない、と。




でも、僕にも夢があったのだ。

あれほど切ない夢が。

愛し合うという幸福を夢見る

切ない夢が。

夢見たことが

あったのだ。

それが、何よりも強い

生きる動機だったのだ。




とりもでせるのだろうか。

あの夢を。

とりもどしたい。

あの夢を。