klimbrothers’s 童話と絵ブログ

本当ハ面白イクリム童話と絵描きグスタフクリムのブログです。

東京行脚

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31日、東京へ行きました。


ネットで高速バスを予約して、チケットをプリントアウトし
朝五時半に家を出て、大阪駅でバスに乗り、7時10分に出発し、新宿東口まで
約8時間半、出発から延べ11時間かけて到着しました。
朝寝坊したら大変なことになる(に違いない)、と弱気になり
前日も殆ど寝なかったのに、バスに乗っても殆ど眠れませんでした。
まるで、9時間に及ぶ日本の地理と歴史をテーマにした長編映画
延々と見続けているみたいな気持ちでした。楽しかった。


沢山の人々に会いました。


池袋のギャラリーベムスターさんでは、『ブッダの世界』展で
搬入から搬出までお世話になったスタッフの女性、磨知さんとお話できました。
へいわ通りは、まるで僕の故郷みたいでした。テラスで珈琲をいただいたら
ちゃんと蚊取り線香に火をつけてくれました。丸い陶器のお線香立てでした。

赤坂のデザインハブへ行く前に、渋谷でLoftworkさんを訪ねました。
道玄坂って単に地名だと思っていたら、本当に足がつりそうな坂道でした。
駅を降りて、反対方向へ行ってしまったたので、距離も1.5倍歩きました。
そこでも、まさかお会い出来るなんて思わなかった林さんとも生まれて初めてお話し、
Rooootsに参加するきっかけを下さった川村さん、いつもお世話になっている
岩崎さんにもお会い出来ました。絵だけ置いてさっと帰ろうと思っていたのに
思いもよらない出会いにびっくりしました。睡眠不足の後遺症がそろそろ発症しはじめて
まともにお話は出来なかったのは心残りではあったけれど、とてもとても
幸せな短い時間でした。

Loftworkさんを後にして、ミッドタウン、デザインハブへ向かいました。
渋谷から東京メトロでの移動でしたが、メトロと言えば地下鉄、どこかに
ないのか、地下鉄の入り口、と思って、探しても探しても見つからなかったので
JRの駅員さんに尋ねたら、『左の階段を上って三階』と言われてビックリしました。
銀座線から◯◯線に一回乗り換えて、乃木坂で降り、また歩きました。
そして、また道を間違えました。何度も間違えました。嗚呼、楽しかった。


ミッドタウンの中でも彷徨い、やっとデザインハブにたどり着いたら
ちゃんと人々の明るい集いがそこにありました。作品も綺麗にプリントされ、
しっかりした額に納められ展示されていました。
神戸からも入選の方々が何人も集っておられて、初めてお会いする人たちばっかり。
でも、ここでお会い出来てよかった、ここでお会い出来たから、きっと地元で
お会いしていても、むしろお話し出来なかったようなことも沢山できて、
ほんとうに良かったと思います。
今回主催されたのは、ユネスコ指定デザイン都市のひとつ深圳だったのですが
その主任であり神戸コンペの審査もされた王小明さんも出席されていました。
深圳での展示では、日本なら国立美術館の名画展のようなカタログも印刷されていて
そのなかに自分の作品を見つけた時は、いいようのない幸せを感じました。
まるで、今まで見た巨匠達の作品のように、立派なカタログに印刷された自分の小品。
王さんにも心から感謝の気持ちをお伝えしました。ちゃんと作品の感想も話して下さいました。嗚呼、こんなことを書いていても、まるで、夢を話しているようです。


殆ど訪れたことのない東京。
印象が始めから変わりました。僕は関西の人だけれど、兵庫県が主な活動域で
神戸と大阪の印象の違いにも違和感を感じるような人です。東京は大阪よりも
神戸に似ていました。ロスアンジェルスよりもニューヨークに似ていました。
人工的に作られた都市というより、人、人、人が生み出した街の印象が強くなりました。


そんな東京で、沢山の素敵な方達に出会った半日。


ミッドタウンでのCODEポスター入選作品展、レセプションパーティを後にして
六本木まで歩き、地下鉄で東京駅へ向かいました。
高速バス深夜便の出発まで、まだ二時間少し残っていたので、妻が渡してくれた
おにぎりを食べておこう、と六本木の交差点の自動販売機の側の路上にしゃがみ込んで
ぱくぱく大きなおにぎりを食べました。誰かに、『おい!そんな所に座っちゃいかん!』
とか注意されるかな?と思いましたが、誰にもまるで気づかれない空気みたいな感じ
がしました。人々は生き生きと往来し、目の前の歩道ではファッションモデルの
白人女性が歩き直し、彼女の提案に対応して小柄な日本人男性カメラマンが撮影して
いました。また僕と同じような丸坊主のアフリカンアメリカンぽい男性が数名ずっといて
西洋人とおぼしき人が通る度に何かのお誘いとずっとしていました。でも誰も
そのすぐ側にしゃがみ込んでいた僕には声をかけたりしませんでした。


おにぎりを食べ終えた僕は目の前の地下鉄入り口からおりて東京駅に向かいました。
何度も電車に乗ったのですが、その度に改めて思いました。東京の電車の駅名って
東京に住んでいなくても聞いたことのある有名な地名ばかりだな、と。東京の人に
空堀って知ってる?って聞いても誰も知らないだろうになぁ・・・。


東京駅に着いてJR方面に向かい、駅員さんにバスターミナルを教えてもらい
間違えないように歩いたのだけれど、途中何度も、また間違えたかな?と思うくらい
なかなかたどり着けませんでした。足がつり始めたので、見つけたベンチに座り
靴を脱ぎ、靴下を脱ぎ、アンメルツもどきを塗ろうとしたら、ふくらはぎに
笑クボが出来ました。とうとう痙攣を始めたのです。随分歩いたんだなぁ・・・。
なんとかマッサージして、出発時間までまだ一時間ほどあるので、最後に東京駅付近
に一休み出来るカフェはないかな?とバス停を越して探し始めたら、また笑クボ。
でも、見つけました。もうすぐ11時になろうとしているのに、こんなに賑わっている
しかも、とっても雰囲気のいい、少し年増なウエイトレスさんたちもとても気さくな
素敵な喫茶店があるんだ、いいなぁ、と、幸せな一日を振り返りながら、とても
気持ちのいい一日の最後を過ごすことが出来ました。


深夜バスの中は真っ暗でした。さっきまでの東京はもうどこにもありません。
さっきまでの東京を思い出させてくれるものは、もう何処にもありません。
なのに、やっぱり僕は眠れませんでした。カーテンの隙間から流れ込む照明が
室内に反射して、遠近感を失った目には打ち上げられた花火のように見える
イリュージョンをぼんやり眺めながら、僕の頭には、今日一日の最後の幻想が
立ちこめていました。


僕よりも二周りも、三周りも若い人々ばかりだったけれど、あの人達が僕の同級生
だったら僕はどれだけ幸せな高校生だろう。好きなあの人、尊敬するあの人、
気になるあの人。そんな人達と今日も逢える。毎日毎日彼らが僕の心を満たすだろう。
ドキドキするだろう。ウルウルするだろう。ワクワクするだろう。
僕は知らんぷりしているだろうけれど。あの人達に会いたくて、僕は今日も学校へ
行くだろう。嗚呼、あの人達が、僕の同級生だったら。


家に戻り、汗を流し、数時間たった、お昼を過ぎた頃、やっと僕は眠りました。



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