巫女の舞
十日恵比寿へ行った。
本殿お参りの帰り道、御神楽奉納の建物があった。
小さな屋台のような小屋で、表に扉は無く、外から立ったまま、舞を見学出来た。
小屋の中には床几が並べられ、お客さんが奉納、厄払いを座って待っていた。
巫女さんによる御神楽が始まった。刀で何かを断ち切る舞。
右手に刀、左手に鞘。狭い場所で、品やかに簡素に舞われた。
刀を大きく振り回さない、曲げた肘と手首を優雅に品やかに動かすだけの簡素な振り付けに、
ずっと心惹かれて見つめていたが、刀を鞘に納める直前、刀を持った右手と、鞘を持った左手を
頭上前方に大きく円を描くように差し上げた時、感極まって涙がこぼれた。
何なのだろう、この簡素な舞。
これほど人の心奪う簡素な舞。
刀を鞘に納め神棚に置くと、神楽鈴に持ち替え清めの舞が始まった。
お客さんが購入した縁起物、頭を垂れるお客さん自身の上で鈴が振られた。
その時何かが見えた。何かが撒かれている様子が。仕草もそうだけれど
鈴の音はまさに塩の様な細かい粉が舞う音色だった。
今年は行くまい。神社で祈って良いことがあった験しはない。
それどころか災いだらけだ。落ち込みだらけだ。
そう心に決めていたのに、妻の電話で誘われて、嫌と言えずに出かけて、
よかった。
御神楽に再会出来てよかった。
本殿では何も祈らなかった。ただご挨拶しただけ。お元気ですか、と。
本殿お参りの帰り道、御神楽奉納の建物があった。
小さな屋台のような小屋で、表に扉は無く、外から立ったまま、舞を見学出来た。
小屋の中には床几が並べられ、お客さんが奉納、厄払いを座って待っていた。
巫女さんによる御神楽が始まった。刀で何かを断ち切る舞。
右手に刀、左手に鞘。狭い場所で、品やかに簡素に舞われた。
刀を大きく振り回さない、曲げた肘と手首を優雅に品やかに動かすだけの簡素な振り付けに、
ずっと心惹かれて見つめていたが、刀を鞘に納める直前、刀を持った右手と、鞘を持った左手を
頭上前方に大きく円を描くように差し上げた時、感極まって涙がこぼれた。
何なのだろう、この簡素な舞。
これほど人の心奪う簡素な舞。
刀を鞘に納め神棚に置くと、神楽鈴に持ち替え清めの舞が始まった。
お客さんが購入した縁起物、頭を垂れるお客さん自身の上で鈴が振られた。
その時何かが見えた。何かが撒かれている様子が。仕草もそうだけれど
鈴の音はまさに塩の様な細かい粉が舞う音色だった。
今年は行くまい。神社で祈って良いことがあった験しはない。
それどころか災いだらけだ。落ち込みだらけだ。
そう心に決めていたのに、妻の電話で誘われて、嫌と言えずに出かけて、
よかった。
御神楽に再会出来てよかった。
本殿では何も祈らなかった。ただご挨拶しただけ。お元気ですか、と。