klimbrothers’s 童話と絵ブログ

本当ハ面白イクリム童話と絵描きグスタフクリムのブログです。

抵抗感

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高校一年生の夏休み

学校で水泳教室があった。

泳げない生徒を

体育の先生が指導してくれはる。

僕も通った。

三日間ほど通ったけど

先生が仰るみたいには

力を抜いて体をすーっと投げ出せなかった。

ばたばたしながら前に進まず沈むばっかり。


練習は三日間ほど中断した。

林間学舍があったから。


練習を再開したら

いきなり泳げるようになっていた。

想像もしていなかった感覚。




別に意識してイメージトレーニングをしていたわけではないのに。

僕が気付きもしなかった水の抵抗感をちゃんと感じ取っていた僕の皮膚と筋肉。

先生の言葉を自分の体に強制する僕の頭から三日間解放された僕の体は

その間にちゃんと僕に教えてくれていたのだ。

頭から自分の体を取り戻していたのだ。


いまでも太ももの内側に感じるあの水の抵抗感を心地良く思い出すことが出来る。



抵抗感。



浮力や揚力として働いてくれる自然の抵抗感。

僕を前へ進ませてくれる水の抵抗感。



絵を描こうとしても紙も絵の具も水も僕に抵抗する。

しかし実はその抵抗感が僕に絵を描かせてくれる。絵を教えてくれる。

こうしたい、ああしたい、と頭が思うことはきっと大事。

でも、そこへ進ませてくれるのは、そんな抵抗感をしっかり感じ取って

それを邪魔者だなどと偏見しかもたない僕の頭ではなく僕の体なのだ。

抵抗感を感じ取り自然と共生してくれる僕の体。



抵抗感。



パソコンやバーチャルリアリティには疑問を感じる。

まるで空中で水泳のフォームをただ正確に再現しているだけの仮想世界。

パソコンの中で泳げるとはただ先生の言葉を正確に守った、というだけのような気がする。

そのフォームに水は無言の抵抗感を与えてくれる。感じなければ解らない抵抗感。

感じるに値する世界・・・・自然。



千鳥足でもいい。

僕の太もものように自然の抵抗感をちゃんと感じ取って

生きていきたい。