不思議現象
先日の日曜日、市バスに乗って、二週間振りに、お母ちゃん家へ遠足。
いつもの様にお母ちゃんはテレビを見ていた。
日曜日にお母ちゃんが見ているのは大抵懐かしの歌謡曲番組。
その日は、生ステージで
山本リンダさんが『どうにもとまらない』を、
今時には殆ど聴く事もない力強い声で
熱唱されていた。
その時、涙が溢れた。
想い出が蘇った訳ではない。
具体的なエピソードがあった訳でもない。
ただそれが、己の人生の唯一無二、絶対存在としての断片、
一章、一頁、一シーンの蘇りかの様に感じられて、
画廊に並ぶ名画と出会ったかの様に、
己の中にではなく、
己をでもなく、
己の外に、その存在を感じて、
愛しさに瞳は涙で溢れた。
これが、お母ちゃん家で時々出会う不思議現象。