klimbrothers’s 童話と絵ブログ

本当ハ面白イクリム童話と絵描きグスタフクリムのブログです。

お天気

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小学生の頃、学校の南側にある校庭の、一番南端にある鉄棒で、

掌を錆の匂いでいっぱいにして遊びながら、

雲が流れる度に、燦々と光り輝いたり、薄暗くなったり、

ずっと変化を続ける運動場の景色に半ば驚きながら、不思議な事を考えた。



『これは晴れなの?曇りなの?

お天気予報なら、曇りとか晴れとか決めるかもしれないけど、

ずっと変化し続ける・・・晴れの中に曇りがある。曇りの中に晴れがある。

光の中に陰、影の中に光・・・。

お天気予報で晴れたり、曇ったり、って言われても、僕の印象とは全然違う。

だって、曇り空の上には、晴れのお陽様が輝き続けているんだよ!

お陽様も雲もずっと存在し続けているんだよ!

どっちなんだろう?晴れなの?曇りなの?』



勿論、国語も算数も理科も社会も苦手で、得意なのは図画だけだった僕だから、

論理的にも科学的にも哲学的にも思考していた訳ではなく、

ただ不条理の海で溺れる様な妄想を続けていただけ。



『ずっと変化を続けるお天気。だったら、僕の人生は晴れていると言えるの?

曇っていると言えるの?どっちなの?

51%は晴れていた。49%は曇っていた。だから、どちらかと言えば、

晴れ!と言われても、全然しっくり来ない。』



そして、小学四年生の僕が辿り着いた結論がこれ。



『今だ。今が僕のお天気なんだ。

この瞬間。この瞬間が僕のお天気なんだ。

人生の終わりの瞬間に晴れていたら、僕の人生は晴れだと思うんだろうなぁ。

終わりの瞬間に曇っていたら、人生は曇りだったと思うんだろうなぁ。』



その後、晴れと曇りを幸福と不幸に置き換えたことは一度もない。

ただ、瞬間と永遠を同義語のように感じている僕らしい妄想だったなぁ、と思う。

今でも、最期の瞬間が雨降りであることを切に祈る僕は、きっと未だに小学生。

今日は正に雨降りだったけど、

目が覚める直前に見た夢の景色はこんな感じだった。



不思議、不思議!