klimbrothers’s 童話と絵ブログ

本当ハ面白イクリム童話と絵描きグスタフクリムのブログです。

百足

昔々 あるところに 一匹の 百足が 住んでいました。


この百足は 大変性格が 良くて

決して 人を 分け隔てする というようなところが ありませんでした。

他人を 意識しすぎて よそよそしく 振る舞うということもなく

いつも 悠然と けれども ちっとも 威張った感じもなく 何だか 暢気そうに

平然と 部屋を 横切るのでした。


けれども、良い性格が 常に 良い結果を もたらす とは限りません。


困ったことが一つ ありました。

この百足は 常に 暢気でしたが

この百足を 見た人は 決して 暢気な気持ちでは いられなかったのです。


まず、この百足は 足が 多過ぎました。

うじゃうじゃ動く 足を目にすると 人は皆 鳥肌が立ってしまうのです。

人は 鳥肌が 嫌いです。 醜いからです。 醜いは病だからです。


人目を 全く 意識しない この 穏やかな性格と

その姿を 目にすれば とても 穏やかでは いられない 人の 感情とは

この上もなく 相性の 悪い 取り合わせでした。


この百足が もう少し 臆病で ゴキブリか何かみたいに 人目をはばかり

こそこそと 振る舞い 人の気配に さっと 身を隠す くらいの 卑屈さを 持っていたら

誰も この百足に 対して その態度を 横柄だと 思ったり

邪悪な奴だと 決めつけたり しなかったでしょう。


まさに 人と この百足は 出会ってはならない 出会いだったのです。

おそらく この百足に とっても 人に とっても。