幸せな『つぶや記』
お母ちゃんからの『新』提案。
『早よ病院行って、早よその不具合治し!
そんで、良うなったら、一緒に旅に出よ!
そんで、豪遊して、一緒に死の!
あんたが、そんな具合が悪かったら、心配で、一人で死なれへんわ!
後の整理は、はるみに頼も!』
お母ちゃんは他人のお世話になるのが嫌いで、そして立つ鳥後を濁さずな人で、
寝たきりになったりする前に、家を綺麗に整理して、
そして旅に出て、東尋坊から飛び降りて死ぬのが理想!、
といつも長生き(今、米寿)を嘆いています。
そこに、僕と一緒に、が加えられたのが、この『新』提案。
この提案を僕にした後、
お母ちゃんは作ってくれたきし麺を食べている僕に、
優しく『生姜食べる?後味いいよ!口直しに食べ!』
とガリをお皿に盛ってくれました。本当に美味しかった!
喋れない僕は、もちろんお母ちゃんとも筆談。
そんな僕にも話しかけて来るお母ちゃんに、
モグモグもがきながらなんとか返事しようとすると、
『返事せんでええねん!ええねん!これは私の独り言。
聞き流してくれたら、そんでええねん!』と言われています。
だから、僕はこのお母ちゃんの『新』提案にも、
Yes!ともNo!とも答えていません。
ちなみに、僕とお母ちゃんとの筆談用に、
お母ちゃんは一冊ノートを用意してくれています。
そのノートの表紙にはお母ちゃんの自筆で『敬弘のつぶや記』
というタイトルが書かれています。
この間、それに加えて『ババアのボヤ記』
という副題がつけられていました。
僕は幸せな『聞き手』です。
そして、お絵描きが一番幸せな僕の『つぶや記』です。